商空間のアロマ空間デザイン
ここでは商業施設でのアロマ空間デザインの概要についてお伝えしています。
日本における香り付き個人商品市場の成熟
1990年代香り付きの製品の多くは、トイレやシューズボックス用の芳香剤に見られるように「気になる匂いをキツイ合成香料で被せる」といった意味合いのものががほとんどでした。
2000年半ばころから衣類の不快な匂いを防ぐためのケミカルな柔軟剤が登場、2020年現在は合成香料を巧みに掛け合わせて香水のような香りがする数種の香りのラインナップがお店に並んでいるのをよく見かけます。
このように日々の暮らしの中のさまざまなシーンで香りに触れる機会が急増した結果、個人が毎日の中で思い思いに取り入れて楽しむ香り習慣は日本で完全に定着しました。
しか柔軟剤一つにしても少しでも量を多く添加してしまうと衣服を着ている間中、キツさが気になってしまうケースは少なくありません。これは、合成香料であるがゆえ。
化粧品などでは天然香料が使われるケースが多くなっていますが、今求められているのは合成よりも天然、キツイ香りよりもほのかで感性に訴えかけるようなタイプの香りです。
個人の楽しみから、企業戦略として香り市場が成熟
国内で個人的に香りを楽しむ生活習慣が浸透しつつあったのとほぼ同時期に、商業施設でも香りを積極的に導入する動きが加速化しました。
都内の外資系ホテルが先駆けとなり、エントランスに思い思いのオリジナルデザインの香をただよわせ、今はあちらこちらで国内外の旅人を向かい入れるウエルカムインセンスの役割を果たしています。
そして外資系ホテルとほぼ同時期に国内でいち早く導入されたのがレクサスです。
レクサスは当初からトヨタ車とは違った方向性で拡販が予定され、そしてレクサスのターゲット層に響く在り方として、ショウルームでの香り演出が始まったと言われます。
今では旅館・セレクトショップ・ショウルーム・フィットネス・サロン・駅構内・病院介護施設といった多様な場所で香り演出が行なわれるようになりました。
この企業の戦略として香りが導入されるケースは天然香料が主流で、理由は商業施設での滞在時間にあります。
合成香料の場合、顧客や常勤スタッフにとっては長時間の滞在で気分が悪くなってしまい、かえってマイナスに働くケースが多いためです。
天然香料を戦略として取り入れた企業が見たものは
植物から採れた天然香料は、ほのかで心地よく穏やかに私たちに響きます。
だからこそ天然香料で演出が行なわれている商業施設では、香りが企業や商品サービスと一体となり(香りが商業施設に溶け込む)、顧客の中に自然と企業のブランドイメージを刷り込ませていくことが可能なのです。
実は多く関わらせていただいてきた弊社クライアント医療施設においても、当初は「スタッフは香水の使用は厳禁」というように決められているケースが多かったですが・・・。
しかし、天然香料の持つ力についてお伝えするにつれ理解が深まって導入に至り、今となっては「クリニックの空間の一部」というように捉えていただけるまでになりました。
弊社が創業したての2011年には、なかなか合成香料と天然香料の違いが伝わらなかったケースが多かったですが、今ではお問い合わせいただく男性の中でもその違いを明確にご存じの方が多くなっているように思います。
まとめ
商業施設でのアロマ空間デザインは決してファッション性の視点だけで運用できるわけではありません。
天然の香りをどのようは目的で活用して演出するのかをするのかを定めない限り、所詮「一貫性を欠いたひとときの香り付け演出」で終わってゆくでしょう。
個人的な消費においてはもはや香り製品は欠くことのできないマストアイテムになっていますが、企業においても同じです。
心地よい環境を提供する企業に、人はは自然な好印象を持ち、いつしか愛着を持つようになります。
心身にプラスに働きかける香りが消費行動の中でも求められているのです。