占星術とアロマ |表裏一体をなしていた天文学と占星術と予測に基づいた対処法
ここでは、占星術とアロマの関係をひも解いています。
星々のめぐりを深める天文学と未来を予測するための占星術は、古来から人の生活に大きな影響を与え、対処法として植物のエッセンスであるアロマが活用されてきました。
古来から言い伝えらえてきた占星術は、現代の科学的な一面から見ると「テレビや雑誌でよく見かける12星座占い」とはかなり違った側面があり興味深いものがあります。参考にされてみてください。
なお、ここでは古代から伝わる占星術とそれにかかわるケアについてお伝えするにとどまり、確固たるエビデンスに基づいた現代医学とは別物であることをご了承の上ご覧ください。
占い独特な不確定要素は除外して、古代から活用されてきた占星術についてファクトベースでお伝えしています。
執筆者情報:香りによる空間デザイン会社GRACESオーナー 雨宮悠天
JAMHA ハーバルプラクティショナー、JAA認定校・インストラクター
占星術とは何か
地震や豪雨などの天災・テロ・パンデミックなど予測できないことが起きるのは、古今東西変わらぬ事実。「今日がどんなに良好な一日だったとしても明日が同じとは限らない」といった思想感は古来からあまり変わりません。
不測の事態が起こる前に「何が起こりそうなのか?」を予測し、対処するための方法が必ず求められました。ここに占星術の意義が求められるでしょう。
占星術の対象は古代では国王の生死・国の興亡の行方など、そこから時代が移り変わって市民が台頭してくると個人的な事柄が扱われるようになりました。
個人の未来についての占星術ゆえに誕生時の天体の配置図(ホロスコープ)が使われ始めます。
占星術の移り変わり
太陽・月・星々のめぐり、月や太陽などが織りなす食、流星惑星がもたらす作物や人への影響といったトピックについては、東西南北場所問わず似通った思想が存在してきました。
月の満ち欠けが潮の満ち引きに影響して漁に影響する
太陽が隠れて雨が降り続ければ川が氾濫して洪水が起きる
天変地異に影響を受ける国の興亡・農作物の出来不出来がどうなるのか
といった未来予想に、天体の運行を切り離すことができなかったのはあまりに自然だったと言えます。
時間という概念が天体の知識と技術に基づいており、そこに占星術が入り混じっているのも事実。アリストテレスのヘレニズム時代では古代エジプトの時間の概念がブラッシュアップされ「1年365日」「1日24時間」といった概念が生まれています。
端的に占いが当たるも八卦当たらぬも八卦などと言える単純な代物とはいい難いものがあるように思います。
以下はプトレマイオス朝のクレオパトラの時代に生み出されたハトホル神殿天井に設置されていた天体図です。
astroarts.co.jp
直径2メートルくらいの円の中に今でもおなじみの12星座が散りばめられているのがわかる極めて興味深い文化遺産です。
左上方部には水瓶を両手で持った人と、その下に魚が描かれており、その隣には体が魚で胴体が羊である牡羊座が描かれています。おわかりでしょうか。
プトレマイオス朝から移り変わった時代で見逃せないのはヘルメス文書です。
ヘルメス文書では宇宙を人の体に見立ててマクロコスモスとしてとらえ、各天体を人の体の中に存在する各器官に見立ててミクロコスモスとして位置づけました。
sciencompass.com
さて占星術はシュメール・バビロニア・アッシリアといった古代メソポタミア文明で生まれ、プトレマイオス朝のエジプト、プラトン、アリストテレスらによって磨かれていってその礎が出来上がりました。
天文学者としても有名なエジプトファラオプトレマイオスは、「星のめぐりと人のかかわり」について以下のように述べています。
エジプト人は医術と星のめぐりにかかわる学問との結びつきをさまざまな方法で強固にした。
起こってしまった出来事と未来とが予測可能な法則に基づいているといった確信がなければ、いろんな意味で生まれるものも生まれなかっただろう。
例えば死を免れるための手術、特定の具合に対処するための方法や護符など。
プトレマイオス著テトラヒブロス
例えば国王の死が占術によって予測され、それが人知のなしえる範囲で対処可能であるならば、必死でそれを回避するためにあれこれ立ち回ろうとするものでしょう。その未来予測に確信があればあるほど、必死に回避策を生み出そうとするのは自然だ、と言ってるのだと思います。
この時代の医術の発展に占星術がこのような形で寄与していた、というのはとても興味深いものです。
monday moon
現代からすると古代の占星術は風変わりにも思えて「占いは突拍子もないような根も葉もないところに存在したのでは?」などとよぎったりします。
とはいえ、古代の占星術師が医術に長ける人が多かったのも事実。この時代は天文学・占星術・心身のケアが密接に関わっていたとも言えます。
モンペリエ医学大学出身のノストラダムスも1999年の世紀末を予測して現代人からオオカミ少年扱いされてしまいましたが、有能な学者であったことは変わりありません。
占星術とアロマ
古代ギリシャでは自然は地火風水から成り立ちこの4大元素が巡り巡って地上のあらゆるものが生まれては移り変わっていくと考えられました。
火は燃え盛って熱せられて乾燥する
ここにうるおいを与えると風に転じ、
さらに熱が放たれ冷却されると水になり
そこからさらにうるおいを捨て去って渇きをもたらすと地となる
といったように。冬は冷気が増し、夏には熱気が増し、秋には乾燥が増し、春にはみずみずしさが増して植物が生き生きと芽吹き始めます。
このような熱・乾・湿・冷といった4つのエレメントは占星術でよくみられる地の星座、火の星座などといった星座の性質として考えられています。
- 熱と乾:火(牡羊座・しし座・射手座)
- 熱と湿:風(天秤座・ふたご座・水瓶座)
- 冷と乾:地(おうし座・山羊座・おとめ座)
- 冷と湿:水(蟹座・さそり座・魚座)
人もこうした循環で成り立っていると考えられ、このバランスが崩れたりすると心身がよくない状態=dis ease(易しくない状態)と考えられたのです。
この熱・乾・湿・冷といった4つのエレメントの強弱は季節や年齢によって変わっていくと考えられました。
変化は時間によってもたらされ、そして時間は天体のめぐりによってもたらされているとされ、さらには生まれた時の天体の運行図(ホロスコープ)をもとにエレメントに対応する薬草や植物のエッセンスが活用されたのです。
- 火星:牡羊座、獅子座、さそり座
- 金星:牡牛座、てんびん座
- 水星:ふたご座、おとめ座、
- 月:かに座
- 木星:いて座、うお座
- 土星:山羊座、みずがめ座
天体 | 対応精油 |
---|---|
太陽 | ローレル、フランキンセンス、ネロリ、ベルガモット、ローズマリー |
月 | クラリセージ、カモミール、サントリナ |
水星 | クラリセージ、シナモン、ペパーミント、ラベンダー |
金星 | イランイラン、スペアミント、ヤロウ、ゼラニウム、ローズ |
火星 | ジンジャー、ガーリック、松 |
木星 | オレンジ、ジャスミン、ジュニパー、メリッサ |
土星 | サイプレス、サンダルウッド、シダーウッド、ユーカリ |
もちろんこの天体と対応精油についてはエビデンスが確立された現代医学とは別物であり、過去占星術師が考案した対応図であることをご了承ください。
月は地球の潮の満ち引きに影響を与えており、湿った天体として考えられていました。
湿気に関連する月に対応する植物は、「水辺に生息、水分に満ちた葉」が考えられ、メロンやレタスやクラリセージなどが挙げられています。
金星は美と愛の惑星と考えられ、対応する植物はバラが挙げられています。
金星と地球が運行した経路をデータ処理するとバラの形になるというのも、奇跡的だと感嘆してもまだ足りないものがあるように思います。
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